株式会社AccuTech



第1話 精度設定   (06/9/3掲載)

大手の設計現場でも良く使われているPro/Eですが、企業によってこの精度設定を重視している企業、そうでない企業とまちまちです。いったい、この精度とは、何を指しているのでしょう? これはデータの交点計算精度を決定する為、物作り現場では非常に重要な要素です。Pro/E2001までは、右のメニューから「設定」-「精度」で設定する事が出来ます(WildFireからは「編集」-「設定」に変更されてます)。ここで、"絶対精度"と"相対精度"という項目があります。絶対精度は言葉の通り、設定されたユニットの分解能を直接設定します。相対精度は、入力されたモデルの大きさに対する相対的な精度で、大きな商品、例えばビルや橋梁ではとても大きな公差をもつ事になります。では、この精度設定によって、物作りに於いて何が変わるのでしょうか?
では、AccuTechが得意なAV,OA,家電商品での設定についてお話を進めます。これら商品の大きさは、大型平面テレビを除けば、概ね幅700mmに収まる物が主体です。筐体は概ねプラスティックを射出成形して作った物が多い状況です。そう、プラスティック成形用の金型作製に大きく影響してきます。金型メーカーが使っているCADにデータを変換する必要があるわけですが、ここで精度設定によっては、使い物にならないデータとなってしまいます。私もPro/Eを使い出した14年前は知りませんでした。本格的にPro/Eデータを金型に利用し出した11年前に、ある金型メーカーから、「もしかして精度設定が相対精度になってませんか?」と言われたのです。その通りでした。全くデフォルトで利用していましたので。その金型メーカーの方が、「絶対精度で0.01より大きな公差を設定すると、データが使えないのです」と言われたのです。当時のPro/EのCAM機能は、あまり性能が良くなかったらしく、Pro/Eを持っているその金型メーカでも、CAMデータは違うCADで作成していました。通常STEPかIGESで変換する訳ですが、その時に、面と面とが離れたり欠落を起こしたりしてしまいます。精度設定がいいかげんだと、これら問題が非常に多く発生し、形にならない状況になります。なので、AccuTechでは絶対精度0.001(mm)に設定し、金型メーカーからは、そのデータの正確性で評価されています。

では、具体的な設定方法をご紹介しましょう。まず、Pro/Eを立ち上げる時のさまざまな設定が書き込まれたconfig.proを編集します。インストール環境によってはconfig.proのありかはまちまちですが、%proe_loadpoint%\text\に存在しているものを初めに読み込みます。その後、Pro/Eが立ち上がるディレクトリにconfig.proがあれば追加読み込みします。一致しない項目は追加され、同じ設定項目は上書きされる特徴があります。なので、ユーザー特有の設定は、Pro/Eを立ち上げるディレクトリに用意するのが妥当かと思います。では、立ち上げディレクトリにconfig.proを作りましょう。絶対精度設定には、config.proに下記設定をします。

ACCURACY_LOWER_BOUND 1e-3  公差の下限値。この設定かそれ以下にします。
default_abs_accuracy 1e-3  デフォルトの絶対精度の値を設定。
enable_absolute_accuracy YES  noとすると相対精度しか設定できません。Pro/Eのデフォルトはnoです。

二行目は無くてもOKです。重要なのは三行目です。これが無いと「絶対精度」を選べません。これら設定をして、パートを新規作成するときのテンプレートファイルを作ります。テンプレートファイルを作るポイント、利用する設定については、第2話の掲載までお待ちください。